いま何事もなかったかのように平穏な2つの「門」だが……
 

 北京の天安門広場で悲劇が起こってから、すでに30年の歳月が流れた。

 天安門事件はひとまず、中華人民共和国の国内問題と言えるだろう。それが今は、国内ではどう報じられているだろうか。調べた限りでは、中国共産党機関紙『人民日報』は今日、天安門事件をまったく報じていない。ただ、過去には天安門関連の報道がいくつかあった。

 たとえば2009年9月29日の「中国はなぜ『崩壊論』を避けられるのか」がそれであって、

〈1989年の春と夏の境に起きた北京の政治的風波(天安門事件)を、西側世界は共産政権が間もなく解体する徴候と考えた。/さらに1991年のソ連解体によって、西側の人々は中国が堅持する『中国の特色ある社会主義路線』の持続性への疑問を深めた〉

 となっている(カッコ内は筆者注)。

 また『人民日報』の2012年6月30日の記事は、「西側と東側 最後に笑うのは中国だ」との見出しの下、

〈少し前にわれわれは鄧小平氏の南巡講話20周年を祝った。20年前はどのような状況だったか。1989年に天安門風波(天安門事件)、1990年に東欧激変、1991年にソ連崩壊が起きた。西側世界は欣喜雀躍し、われわれの側では悲観的な者が増えた〉

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