問題となった黄之鋒氏のツイッター

 

 香港問題がタイ内政に微妙な波風を立たせ始めた。時の経過と共に消えてなくなるのか、それとも大きな波となってタイ社会を翻弄するのか。

 国内政治のみならず中国との外交関係とも絡んでいる問題だけに、連立体制発足から3カ月余を経て試運転期間も過ぎ、最初の関門である2020年度の予算審議を前にしたプラユット・チャンオチャ政権にとっては、政権の今後を占う試金石となりそうだ。

タナトーン党首と並んだ写真

 問題の発端は、香港の「雨傘運動」を率いた民主活動家の1人である黄之鋒(ジョシュア・ウォン、23歳)が10月7日にツイッターで発信したメッセージだった。

 3月に行われたタイの総選挙で大躍進を遂げた野党第2党「新未来党」を率いるタナトーン・チュンルンルアンキット党首(華字名は荘海文、40歳)と2人で並んだ写真に添えて、「2人は政治問題に関する意見を交換した。タナトーン党首は『タイは軍事政権化され、文民政権に戻ったとは言うが、実質は香港と同じだ』と語った」と記した。

 ちなみに黄之鋒は2016年、タイ当局から入国を拒否され、バンコクのスワンナプーン空港で12時間拘束の後、強制退去処分を受けたことがある。当時の現地メディア報道やタイ民主派学生活動家の発言によれば、タイ政府は中国政府の要請を受けて対応したとのことだ。

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