実は残業減っていない「働き方改革」の「盲点」

執筆者:鷲尾香一2019年10月28日
表面化しにくい”闇残業”が増えている(写真はイメージです)
 

 2017年に働き方改革への取り組みが始まり、2019年4月から「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)がスタートして半年経つが、すでに働き方改革に歪みが起こっている。

 2015年12月25日、元電通社員の高橋まつりさん=当時(24)=が、住んでいた寮から投身自殺。その原因が最長月130時間の残業などにあったことが明らかとなり、東京・三田労働基準監督署が過労死として認定したことを受け、急速に働き方改革への社会的気運が高まった。

「働き方改革」の中身

「働き方改革」は、人口減少に入った日本の労働力不足を解消させるため、働き手を増やし、出生率を上昇させ、労働生産性を向上させるための施策であり、「長時間労働の是正」、「正規・非正規の不合理な処遇差の解消」、「多様な働き方の実現」が3つの柱となっている。

 その具体的な施策としては、(1)非正規雇用の待遇差改善(2)長時間労働の是正(3)柔軟な働き方ができる環境づくり(4)ダイバーシティ(多様性)の推進(5)賃金引き上げと労働生産性向上(6)再就職支援と人材育成(7)ハラスメント防止対策――が挙げられているが、高橋まつりさんの事件を契機としているだけに、「長時間労働の是正」が核となっている。

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