エピソード満載の著書

 きわめて官僚的な英国の石油会社だった「BP」を、米大手の「アモコ」や「アルコ」などを大胆に吸収合併し、同時に企業文化を大改革することにより世界第3位の石油会社に押し上げた有能な経営者だったジョン・ブラウンは、日本人には邦訳本『カミングアウト LGBTの社員とその同僚に送るメッセージ』(2018年9月、英治出版)により知られることになった。LGBTであることを隠そうとする気持ちから法廷で偽証したスキャンダルにより、2007年に「BP」のCEO(最高経営責任者)を辞任したブラウンは、そのビジネスマンとしての功績により爵位を付与されており、ブラウン卿と称されている。

 ブラウン卿には、自叙伝的な『Beyond Business』という著作がある(2010年、Weidenfeld & Nicolson)

 自らがCEOとして、ロックフェラー系「スタンダード・オイル」の血を引く米大手「アモコ」を吸収合併し、社名を「BPアモコ」に変更した後、さらにアラスカに大きな権益を持ち、カリフォルニア州を本拠とする独立系大手の「アルコ」や潤滑油大手の「カストロール」を買収し、2001年5月に完全なる新会社として「BP」という社名にしたのだ。

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