韓国「非難」米国「牽制」

執筆者:平井久志2019年10月29日
米韓合同軍事演習終了後の8月24日、「超大型ロケット砲」の発射実験を指導した金正恩党委員長[KCNA VIA KNS](C)AFP=時事

 

 北朝鮮外務省報道官は8月6日、8月5日から始まった米韓合同軍事演習を非難する談話を発表し、「新たな道を模索せざるを得ないかもしれない」と対話路線を見直す可能性を示唆し、米韓両国を牽制した。

北朝鮮「新しい道」で米韓を牽制

 報道官の談話は、米韓側が合同軍事演習をするなら「われわれもやはり、国家防衛に必須の威力ある物理的手段を開発、試験、配備せざるを得なくなるであろうし、それに対して米国と南朝鮮当局は口が十あっても言う言葉がないであろう」と警告し、国防強化の道に歩まざるを得ないとした。

 その上で「現情勢は朝米、北南合意の履行に対するわれわれの意欲を急激に落としており、今後の対話の展望にも良くない影響を及ぼしている」とし「われわれもやはり、すでに宣明した通りに新しい道を模索せざるを得なくなるかもしれない」とした。

 北朝鮮はこの談話だけでなく、8月6日午前5時24分と同36分に、南西部の黄海南道クァイル郡付近から日本海に向けて飛翔体を2発、発射した。韓国軍合同参謀本部は飛翔体の高度は約37キロ、飛距離は約450キロとした。朝鮮半島の西側から半島を横断する形で日本海に撃ち込んでおり、技術に自信を示した形だ。韓国軍は、この飛翔体の最高速度はマッハ6.9以上で、7月25日の短距離弾道ミサイルと類似した飛行特性があるとし、これが「北朝鮮版イスカンデル」(KN23)の可能性が高いとの見方を示した。7月25日発射の飛行高度は約50キロとみられたが、この時は高度が37キロとさらに低く、韓国側からすればさらに迎撃が困難な存在になった。

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