昨年の「FII」にて。多数のドタキャンが出たが、それでも世界からVIPが集まった。中央でご満悦なのがMBS皇太子(C)AFP=時事
 

 MBSは「裸の王様」なのか?

 これが、筆者が後に紹介する『フィナンシャル・タイムズ』(FT)記事を読んだときの最初の感想だった。

 MBSとして知られるサウジアラビア(以下、サウジ)の皇太子、ムハンマド・ビン・サルマーン王子は、同国の経済体制を脱石油化するために「ビジョン2030」を推進している。その中核が「サウジアラムコ」(以下、アラムコ)のIPOだ。だが、MBSは依然として「2兆ドル」の企業価値に拘っている、という。その原因は、「アラムコ」幹部も、IPO作業を手伝っている欧米の超一流銀行家たちも、誰もその非現実性を指摘しないからだ、と『FT』記事の中で紹介されているのだ。

 あるいは指摘した人々は、追放されてしまったのだろうか。

 ハーリド・アル・ファーリハ前エネルギー大臣は、IPOに熱心でなかったのが「クビ」になった1つの理由だと報じられていた。

 ともかくIPOを実現するために、コントロールの利くサウジ国内の取引所「タダウル」で先行実施すると言われている。

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