安倍首相はなぜ「規制改革」をやめたのか

執筆者:磯山友幸2019年11月1日
首相官邸HPより

 

 「成長戦略の一丁目一番地」だとしてきた「規制改革」に、どうも安倍晋三首相は関心を失ってきた模様だ。

 7月に設置期限を迎えていた政府の規制改革推進会議の後継組織の設置がようやく固まったのだが、人選を含めどうも「本気度」が感じられない。首相のリーダーシップが弱まったことで、業界や「霞が関」など「既得権層」の巻き返しが強まっている。

議長の後任が焦点

 今回、規制改革推進会議は「常設組織」になることが決まった。これまでは3年間の時限組織で、毎回、後継組織をどうするのかが問題になってきた。常設化によって提言した改革の進捗などに目を光らせることができる。

 実はこの常設化、自民党の行政改革推進本部が提言していたものだ。閣内や自民党内で長年にわたって規制改革を主張してきた塩崎恭久・衆議院議員が本部長で、若手改革派のホープである小林史明・衆議院議員が事務局長を務めてきた。提言では「内閣府設置法上の重要政策会議(第18条)として位置づけ、経済財政諮問会議や総合科学技術会議などと同様に、法定化・常設化を図るべきである」とされていた。

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