攻撃を受けて黒煙を上げる「サウジアラムコ」の石油施設(C)AFP=時事
 

 昨年10月の「ハーショクジー(カショギ)事件」を受けて、今年も『CNN』『ブルームバーグ』『ニューヨーク・タイムズ』『フィナンシャル・タイムズ』(FT)など、多くの欧米主要メディアが取材ボイコットをしているため、「砂漠のダボス会議」とも称される「未来投資イニシアチブ」(FII)の動向は良く見えてこない。主催者およびサウジアラビア(以下、サウジ)を始めとする中東の一部メデイアが報じているだけのようだ。

 主催者側の発表では、参加者は昨年のほぼ2倍の6000人、会議中にサウジは24件、総額200億ドル以上の投資契約に調印した、としているが、果たして海外の金融筋は、サウジを投資するに相応しい国と評価し直したのだろうか?

 日本のメガバンク3行が総額1.1兆円のシンジケート・ローンの中核として参加した、とも報じられているが、これはあくまでも「つなぎ融資」だ(「サウジ、3メガ銀などと1.1兆円の融資契約発表」『日本経済新聞』10月30日)。

 サウジの主権国家資産基金である「公共投資基金」(PIF)が所有している石油化学企業「サウジ基礎産業公社」(SABIC)の株式70%を690億ドルで国営石油「サウジアラムコ」(以下、アラムコ)に売却することで合意しているが、当該取引が正式に完了して入金するまでのあいだ、必要な資金調達を行っただけだ。日本を含む国際金融界が投資先としてのサウジにお墨付きを与えたと読むのは早計だろう。

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