このまま「中東派遣」で自衛隊は大丈夫か

執筆者:林吉永2019年11月12日
2013年8月、ジブチの自衛隊拠点を訪れた安倍首相。その目で隊員たちの負担を見ているはずだが……(C)時事

 

 去る10月18日、NSC(国家安全保障会議)は、「中東情勢の悪化」が日本船舶の航行の安全を脅かすとして、海上自衛隊(以下「海自」)の部隊を「調査・情報収集」目的で中東海域に派遣する検討に入った。根拠は、防衛省の所掌事務などを定めた法律「防衛省設置法」の第4条第18号「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと」であって、同規定に地理的制限はない。

「悪化」は、これまでにも増して「我が国に対する脅威」が差し迫っている状況を言うのだが、政府の説明では、現時点、どのような現象をもって「悪化」とするかが不明確だ。というより、ほとんど何も説明されていない。

 シーレーンや石油施設への攻撃は直接的であり日本の石油資源確保に影響するから、攻撃に対する防衛政策推進は、軍事・外交・経済など総合的に検討されなければならない。

 これらについて国民が知り得る情報は、メディアの発信に限られ、政府が丁寧に説明しない限り、国民が自衛隊派遣の事情を知ることは難しい。

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