9日の会見で「再選挙の実施」を発表するも、時すでに遅し……(C)AFP=時事

 

 国民の半数が先住民と自認するボリビアで14年前、共和国として独立(1825年)して以来初の先住民出身大統領となったエボ・モラレス大統領。反グローバル化を貫いた、このアイマラ系の大統領が、4期目に向けた選挙での不正疑惑をめぐる抗議行動と混乱を前に、11月10日に辞任。メキシコ政府の差し向けた軍用機で亡命した。

 ガルシア・リネラ副大統領もともに出国しており、歴代最長在任記録を誇ったモラレス政権は崩壊した。

 2006年の政権発足以来、ベネズエラ(ウゴ・チャベス政権)、キューバ(フィデル・カストロ、ラウル・カストロ政権)とともに築いてきた反米左派の「ボリバル同盟(ALBA)」の枢軸の一角が崩れた。

 3期続いたモラレス政権は、長年、南米の「最貧困国」であったボリビアを「中所得国」へと変貌させた実績を誇る。天然ガスや鉱物資源の高騰に恵まれ、独自の民族主義政策と慎重な経済運営によって、2006年以降、GDP年率5%平均の高成長を達成。先住民の地位向上や再分配政策により、60%以上あった貧困人口を半減させた。

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