前途多難な2期目のスタート(C)AFP=時事

 

 4月の大統領選挙で再選を果たしたジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領の第2期政権が10月20日に発足した。前のスシロ・バンバン・ユドヨノ大統領に続き2期10年の長期政権が樹立されることになり、インドネシアの政治経済が安定することを期待する声も強い。

 しかし、政権発足前からデモや暴動などが多数発生し、ジョコウィ再選を祝福するムードは盛り上がらなかった。

 10月23日に陣容が発表された新内閣に対しても、批判の声が多数あがっている。なかでも、2回の大統領選を戦った相手であるプラボウォ・スビアントが率いる野党第1党の「グリンドラ党」を与党に引き入れたうえ、そのプラボウォを国防相という重要閣僚に任命したことは、驚きとともに、支持者の間に強い拒否反応を引き起こした。

 ジョコウィは、支持者から反発が出ることを分かったうえで、なぜこのような選択をしたのだろうか。この選択は今後の政権運営にどのような影響を与えるだろうか。

プラボウォを引き入れた2つの理由

 プラボウォは、スハルト独裁政権時代の陸軍将校で、多くの人権侵害事件に関わっていた疑惑がささやかれている人物である。スハルト政権が崩壊した時には、クーデタで権力を奪取しようとして失敗し、軍籍を剥奪されている。ジョコウィはそのような人物を、文民として軍を監督する省庁のトップに任命したのである。

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