カリスマ「野党リーダー」の芽を摘んだタイ「ABCM複合体」が恐れるもの
2019年11月26日

タナトーン党首の”反撃”や如何に――(C)時事通信
11月20日午後2時半、タイの憲法裁判所は、「新未来党」のタナトーン・チュンルンルアンキット(華字名:荘海文)党首の下院議員資格が失効するとの判断を下した。
中央選挙管理委員会の措置を追認する形で、メディア関連企業の株を有する者は下院議員になれないという憲法98条(第3項)、同101条(第6項)の規定に従ったものだ。
「ABCM複合体」の危惧
反軍政・民主化を掲げて2018年3月に結成された新未来党は、初めて臨んだ今年3月末の総選挙において、メディアや世論調査による事前予測を大幅に上回る80議席を獲得し、野党第2党に躍り出た。
現状に不満を抱く都市部の若者やLGBT(性的マイノリティー)の人々からの熱い支持を背景にしたリーダーシップに加え、長身でスポーツ万能を思わせるしなやかな体形に、都会風の風貌である。さらに、これに豊富な資金力が加わる。
従来のタイ政界では見られなかったタイプであるだけに、社会にアピールする力は侮りがたい。タクシン派で野党第1党の「タイ貢献党」に強力な指導者が現れず、精彩を欠いている政界の状況からして、タナトーン党首が政界再編への起爆剤となる可能性は高かった。
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