カリスマ「野党リーダー」の芽を摘んだタイ「ABCM複合体」が恐れるもの

執筆者:樋泉克夫 2019年11月26日
タグ: タイ
タナトーン党首の”反撃”や如何に――(C)時事通信

 

 11月20日午後2時半、タイの憲法裁判所は、「新未来党」のタナトーン・チュンルンルアンキット(華字名:荘海文)党首の下院議員資格が失効するとの判断を下した。

 中央選挙管理委員会の措置を追認する形で、メディア関連企業の株を有する者は下院議員になれないという憲法98条(第3項)、同101条(第6項)の規定に従ったものだ。

「ABCM複合体」の危惧

 反軍政・民主化を掲げて2018年3月に結成された新未来党は、初めて臨んだ今年3月末の総選挙において、メディアや世論調査による事前予測を大幅に上回る80議席を獲得し、野党第2党に躍り出た。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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