食後の小山薫堂氏との対談で、「漆椀ちょもらんま」を手に説明する重要無形文化財「蒔絵(まきえ)」保持者(人間国宝)の室瀬和美氏(左)(筆者提供、以下同)

 

 「Kōgei Dining(工芸ダイニング)―ニッポンのわざをあじわう」と銘打った食事会が、文化庁などの主催で11月6日、明治神宮の一隅で開かれた。料理と伝統工芸のコラボレーション企画で、「文化の活用」についての新しい試みだった。

 戦後の日本の文化行政は保護一辺倒だったが、21世紀に入ると「文化の活用にもっと力を入れるべきだ」との声が高まった。文化芸術資源を観光や他産業に活用することで大きな経済効果が期待でき、地方創生のテコにもなるとの考えからで、例えば東京・迎賓館赤坂離宮の一般公開(2016年4月~)もその流れの一環だった。

 この文化の活用に法的根拠を与え、大きな弾みとなったのは、2017年6月の超党派での文化芸術基本法の成立だった。同法2条(基本理念)は10項で、「文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつつ、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の各関連分野における施策との有機的な連携が図られるよう配慮されなければならない」と記し、文化の活用に道を開いた。

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