砂上の「GSOMIA失効」延長:「米の圧力」「日韓不信」の舞台裏(下)
2019年12月3日
一方、韓国政府が日本政府の輸出規制強化を不当としてWTOに提訴した問題で、スイスのジュネーブで11月19日、2回目の2国間協議が行われた。WTO提訴では紛争処理委員会(パネル)の設置をWTOに求める前に2国間協議を行うことになっている。通常は1回で終わることが多いが、日韓はこの日、2回目の協議を行った。
日本政府は韓国の貿易管理に「不適切な取引」があるなどとしていたが、韓国政府は「日本政府の主張に客観的根拠はない」と反論するなど基本的な対立は埋まらないままだった。このため、韓国政府が2国間協議を打ち切り、パネルの設置を求める可能性が高まったとみられた。
「WTO協議」日韓の食い違う主張
こうしてみると、WTOの日韓2国間協議があり、米韓の3回目の防衛金分担金交渉の行われた11月19日以前までは、日本が輸出規制強化問題で姿勢を変えない限りGSOMIAの失効はやむを得ないという韓国政府の立場に変化はなかったようにみえる。
WTOの2国間交渉では日韓の対立は解けず、米韓の防衛費分担金交渉は決裂した。秘密裏に米国に派遣されていた金鉉宗(キム・ヒョンジョン)第2次長が帰国し、米国の想像以上の厳しい姿勢が青瓦台で共有され始めた。状況打開に向けた動きは、11月19日前後から始まったようにみえる。日本の首相官邸で動きが出始めるのも19日からだ。
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