「ディープ・ステート」の本質:「トランプ弾劾」不調の意味
2019年12月6日
不思議と呼ぶべきだろう。
弾劾調査の議会公聴会で「悪事」が暴かれ、リベラルメディアが毎日興奮して報道しながらも、ドナルド・トランプ米大統領の支持率は下がらない。調査の対象となるウクライナ疑惑の発覚前と後とでは、40%台でまったく変わっていない。弾劾・罷免への支持率にいたっては、ウクライナ疑惑が明らかになった9月下旬からむしろ減少しているほどだ。
公聴会では、トランプ大統領が政敵ジョー・バイデン前副大統領のあら探しをウクライナ側に要求し、その実現を軍事援助再開の条件としていた様子が赤裸々に語られた。来年の大統領選再選のために、外交を悪用したのだから、その罪は深刻だ。
11月初旬に久しぶりに訪れたワシントンで、旧知の政府職員は「絶対あってはならないこと」「驚きで言葉が出なかった」とトランプ大統領非難で口をそろえた。大統領に抵抗していたマリー・ヨバノビッチ駐ウクライナ大使が突然更迭されるなど、誇り高き外交を土足で踏みにじられた感のある国務省は特に憤りが募る。「早く辞めてよかった」と、1年前に国務省を離れた幹部は語った。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。