マネーの運営に人間の管理者は必要か

執筆者:野口悠紀雄2019年12月12日
リブラ公式HPより
 

 ビットコインは管理者なしで運営されている。その意味で、マネーの世界における極めて大きな変革だ。そもそも、マネーの供給を中央銀行が恣意的にコントロールするのが望ましいか否かについては、本質的な疑問がある。

最初に登場したDAO

 これまで、送金などの業務は、銀行という信頼を確立した機関が管理することによって行われてきた。

 ところが、ビットコインでは、コンピューターネットワークが取引の正しさをチェックする。そして、データはブロックチェーンに記録されるため、書き換えることができない。このため、管理者なしで運営されている。

 マネーの取引を成立させるために、政府や金融機関といった第三者を必要としない革新的な技術だ。仮想通貨の登場はマネーの世界における画期的な出来事だ。

 フィンテックと言われるものの中には、スマートフォンによる決済など、従来の銀行送金システムの上に構築されたものが多い。こうしたものが日常生活を便利にすることは事実だ。しかし、金融業務を根本から変えるものではない。

 本質的な変革は、ブロックチェーンによってなされる。

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