首都ロンドンだけでも年間6000件もの漏水があると報じる『BBC NEWS』の記事
 

 イギリス、特にその首都ロンドンの街並みは美しい。この街は、車社会を前提としたアメリカ型の街づくりとは根本的に異なる。広大な土地の中、直線的に区画整理するのではなく、古くから積み上がった街並みを維持しながら、100年以上経過した歴史的建築物をリノベートしつつ少しずつ近代的なビルを織り交ぜている。

「欧米人」という括りで一緒くたにしがちだが、イギリス人とアメリカ人では、実際にビジネスや生活の現場で接してみると、全くと言っていいほど違う。イギリス人は、基本的に「本音と建前」があり、思慮深く、伝統を重んじ、また繊細で、日本人と近い点も多い。一方のアメリカ人は、直球勝負で議論を進め、新規性を重んじる。

 ただし、国民性としては真逆に見えても、こと水道インフラの話になると、類似する部分が出てくるから面白い。

 それは、悲惨な漏水の状況だ。

 イギリスの水道配管が経年劣化していると聞いても、その歴史の長さを考えれば、誰も驚かないかもしれない。だが、現状は、想像以上だ。政府統計によると(Discover Water.co.ukより)、イギリスの上水道配管の総距離は、約34万5000キロある。 日本のそれは67万6000キロだから、国土の大きさに比例する形で、イギリスの上水道配管の長さは、日本の約半分だ(アメリカの上水道は160万キロ程度あるので、イギリスの約4.5倍の長さがある)。

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