肝入り「メイク・イン・インディア」も不発……(C) EPA=時事

 

 インド経済が6年半ぶりの低成長に落ち込んだ。2019年7~9月の国内総生産(GDP)成長率は前年同期比4.5%と、前期(4~6月)の5.0%からさらに減速。

 成長率が1%に届かない日本や、2%そこそこの米国に比べればまだ十分に高成長とはいえ、膨大な若年層に雇用とヘルスケアを与え、2億人強といわれる貧困層の暮らしを底上げするには、7~8%の高成長が至上命題。4.5%という数字は及第点からは程遠い。

 減速の背景には、米中貿易摩擦などによる世界経済の低迷、地政学的な動揺による輸出の伸び悩みといった外的要因に加え、国内では農村の困窮や不良債権(NPA)処理に伴う貸し渋り、ノンバンク(NBFC)の流動性危機などが挙げられる。

 このためインドでは広い範囲で消費が減退し、必要とする企業や個人などにカネが流れない状況に陥っている。

救いようがない今回の数字

 7~9月の統計データを見てみよう。

 GDP成長率は、7.0%を記録した前年同期と比べると実に2.5ポイントもの落ち込み。供給側の数字である粗付加価値(GVA)では、GDPの約70%を占めるサービス業がプラス6.3%と頑張ったが、9億人の農村住民、とりわけそのうち6億人の農民の消費を左右する農林水産業が、前年同期比プラス2.1%と力強さを欠き、前期比でもほぼ横ばいだった。

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