長期化し形骸化しながら影響を及ぼすカタール封鎖
2019年12月21日
カタール訪問の件は、ここフォーサイトが日本語で、しかも会員制だからこそ書けるという面もある。
カタールに頻繁に出かけているということを、アラブ世界向けに英語やアラビア語で公にする文章では、書きにくい。サウジ側やUAE側の人たちから「カタール側の人間ではないか」という疑いをかけられ、関係を絶たれたり、仕事上での嫌がらせさえ受けかねないからだ。
私の研究上の姿勢は、「サウジ側」「カタール側」「イラン側」あるいは「パレスチナ擁護」「イスラエル支持」「トルコびいき」といったものではなく、むしろそういったどこに与する、どこの視点でみるという地域専門家の陥りやすい落とし穴を避けて、それらの中東の主要なアクター全体の相互関係を重視するものである。
であるからどの国にも出かけていく。実際問題として、これらの国々を同時に並行して見続けて行くことは手間というだけでも大変であるが、各国の相互関係が険悪であったり難しかったりすることから、さらに輪をかけて困難をきたす。
複雑な中東諸国間関係の中でも、カタールという国は、魅力的だが扱いが難しい存在である。
カタールは2017年6月以来、サウジ・UAEから国交を断絶され、両国から禁輸措置(blockade)を受け、航空機の往来の停止、上空通過も禁止されている。
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