インド「イスラム差別」が投げかける「ヒンドゥー至上主義」の自己矛盾
2019年12月26日
インド政府は12月11日、イスラム教徒を除くパキスタン、バングラデシュ、アフガニスタンからの不法移民に対し、インド国籍付与の条件を緩和する「市民権法」の改正案を国会に提出。上下両院で可決され、「2019年改正インド市民権法(CAA)」として成立した。
だが、イスラム教徒の住民や学生、人権活動家らはこの法律が同教徒の締め出しにつながるとして厳しく批判し、インド各地で抗議デモを展開した。
首都デリー南部では、暴徒化したデモ隊がバスや二輪車に放火するなど行動をエスカレートさせ、警官隊との衝突で死傷者を出す事態に発展した。
かねてバングラデシュなどからの不法移民が多く、イスラム教徒人口が州全体の約30%に達する北東部のアッサム州でも、同様に抗議行動が先鋭化。州の中心都市ガウハティの治安が悪化したことから、同市を立ち寄り先の1つにしていた安倍晋三首相のインド公式訪問が延期される事態となった。
デモ隊と警察隊との衝突で6人が死亡
CAAは、イスラム教徒が大半を占めるパキスタン、バングラデシュ、アフガニスタンといった近隣諸国からインドに流入したものの、旅券などを持たない「不法」移民に対して、これまでインド国籍付与の条件としていた12年間の居住実績を6年に短縮し、受け入れ拡大を図るというもの。
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