【香港特別対談】(中)2020年のカギとなる「香港」立法会選挙

ジャーナリスト野嶋剛×立教大学・倉田徹教授

執筆者:2019年12月27日
理工大学の外で火炎瓶を投げる学生=11月16日撮影(C)AFP=時事
 

野嶋 香港理工大学で衝突が続いていた11月中旬、私はちょうど北京にいて連日の報道を見ていたのですが、テレビで繰り返し流される映像が2つありました。

 1つは、香港の散らかった街を地元のボランティアの人たちが一生懸命片づけている映像、もう1つは、人民解放軍が片づけを手伝っている映像です。

 

倉田 日本のメディアでは「解放軍が出動する準備」という見方をされましたが、香港メディアでは大きく扱われませんでした。

 映像をよく見ると、レンガを片づけている解放軍の横で、香港市民が拍手をしている。これはいわゆる「サクラ」です。「香港市民が中国政府を支持している」と見せかけるために動員された人物が、解放軍を応援している。

 大陸では、その様子を必死になって報道し、解放軍は香港でも活躍していて好かれてもいるというイメージを国民に見せるわけです。デモが大陸に波及しないよう必死にネガティブキャンペーンを行い、デモ隊に対して「暴徒」という言葉を繰り返す一方、それはあくまでも香港の人たちの一部である、と。取り繕うのも大変だろうと思います。

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