【香港特別対談】(下)「蔡英文総統」を復活させた台湾の「亡国感」

ジャーナリスト・野嶋剛×立教大学・倉田徹教授

執筆者:2019年12月27日
1年前には想像もできなかった「V字回復」(C)EPA=時事
 

倉田 香港で起きていることは、中国の拡大とそれに対する抵抗という動きの一環と見ることもできます。似たような摩擦が周辺諸国でも起きている。

野嶋・倉田両氏が参加した『香港危機の深層 「逃亡犯条例」改正問題と「一国二制度」のゆくえ 』

 よく中国のターニングポイントになったのはリーマンショックと言われます。世界中の経済がガタガタになる中で、中国は巨額な財政出動をして経済力を維持し、世界経済を支えた。ある意味で「国際貢献」をしたわけで、それなりに称賛もされた。

 これを境に、中国は自分の制度に自信を持つようになり「制度自信」という言葉を使い始めました。

 中国の研究者と話していると、彼らは「香港? あれはどうとでもなる」という感覚でいます。口を開けば「香港は小さい」「小さいからどうとでもなる」と言う。要するに、中国はアメリカだけを見ていて、それ以外は「その他諸々」という扱いなのです。

 しかし、中国は大国を意識するようになっているものの、実は小さいところが危ないという指摘が研究者から出ています。

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