ロウハーニー大統領が12月20−21日に来日し、安倍晋三首相との首脳会談、拡大会合、夕食会等の盛りだくさんな日程による接遇を受けた。

これについて、筆者は英語でコメントを出しているが、基本的な印象は、あくまでも日・イランの「二国間関係」に(少なくとも表向きは)限定した来日であり、日本・イラン国交樹立90周年の本年内に、今年6月の安倍首相のイラン訪問への答礼としてのイランの大統領の訪日を、双方が努力して、短期間の準備で実現した、儀礼的な側面が大きな比重を占める外交、というものである。

そのため、安倍首相によるトランプ大統領とイラン指導部の対話仲介や、イランが望む日本への何らかの形での石油輸出・代金送金の実現といった課題は、基本的に棚上げにされたと考えられる。

12月初頭にロウハーニー大統領訪日の提案と検討が表面化した直後から、イラン側は「二国間関係」としての性質を強調しており、イランが米国やサウジなどとの敵対的関係を日本を通じて改善する大きな期待は抱いていないとの、期待値を下げる、あるいは脅威認識を避けるためのシグナルが送られてきたとも考えられる。

安倍首相は来年1月中旬までにサウジやUAEを訪問することを検討とも報じられており、サウジ・UAE陣営とイラン陣営の双方との、それぞれに良好な二国間関係のいずれをも維持したいというのが日本政府の立場なようだ。

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