(3)「重要な実験」の意味

執筆者:平井久志2019年12月29日
白馬にまたがって白頭山革命戦跡地を訪問する金正恩党委員長。一方では「重大な実験」を(『労働新聞』HPより)

 

 朝鮮労働党機関紙『労働新聞』は12月4日、1面で金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が白頭山地区の革命戦跡地を訪問したと報じるとともに、「朝鮮労働党中央委政治局常務委員会」の12月3日付の決定書を報じた。その決定書は「党政治局常務委員会はわれわれの革命発展と変化した対内外的情勢の要求に合わせ重大な問題を討議決定するために朝鮮労働党中央委員会第7期第5回全体会議(総会)を12月下旬に招集することを決定した」とした。

12月下旬に党中央委総会開催か

 金党委員長は、4月の最高人民会議の施政演説で、「米国が今の計算法を捨て、新しい計算法を持ってわれわれに近寄ることが必要だ」「ともかく今年の末までは忍耐強くアメリカの勇断を待つつもりだ」と述べた。その「年末」という期限の直前に、党大会に次ぐ重要決定機関である党中央委総会の開催を決めたということは、朝鮮労働党の「新たな路線」を討議、決定するためのものであろう。

 この党中央委総会の開催が決まる前までは、金党委員長が設定した「年末」までという期限を待って、来年元日に発表される金党委員長の「新年の辞」で北朝鮮の「新しい道」が示されるという見方が一般的であった。しかし、北朝鮮が「変化した対内外的情勢の要求に合わせ重大な問題」を討議、決定するためになぜ党中央委総会の開催を決めたのであろうか。

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