イトーヨーカ堂に並んだペルー産温州みかん

 

 昭和から平成、令和へと時代が変わり、炬燵のない食卓が増えてもなお、「みかん」はまぎれもない日本の冬の風物詩だ。和歌山をはじめとする産地で年間70万トン以上が生産され、自給率は100%超。日本の代表的な果物と言える。

 一見、外国には「勝機」のなさそうな日本のみかん市場だが、そこへ進出したのが南半球に位置するペルーである。

 日本と気候が反対のため、国産みかんがあまり出回らない夏に「商機あり」というわけで、2018年に温州みかんの輸入が解禁。その第1弾が2019年夏に店頭に並んだ。2020年も第2弾が予定されている。

 実は、ペルーに温州みかんをもたらしたのは、他ならぬ日本人だという。そして2019年は、日本人がペルーに移住して120年の節目に当たる。

 今回紹介するのは、記念すべき「里帰り」を果たしたペルー産温州みかんの物語である。

12年がかりの交渉

「温州みかんを日本に輸出しようという話が発起されたのは18年前。日本に正式に打診して交渉がはじまったのは12年前です」

 と話すのは、ペルー大使館商務部のウィリアム・ヴァルデラマ農務担当官だ。

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