「イビスクス・ワインズ」のロゼ。中央が「イビスクス・ロゼ 2018」(筆者提供、以下同)

 

 2019年9月、「イビサ・フォルメンテーラ商工会議所」の招きで、西地中海に浮かぶ2つの島へ取材に出かけた。スペイン領バレアレス諸島に属するイビサ島と、その南6キロメートルの海上に浮かぶフォルメンテーラ島である。

 イビサ島は歴史あるリゾートアイランドとして知られる。

 1970年代にはヒッピーカルチャーの聖地として、また80年代以降はクラブカルチャーの発信地として、世界にその名を響かせた。この島のクラブやパーティーから生まれた「バレアリック」というダンスミュージックのムーブメントは、世界の音楽シーンに強い影響力を持っていた。

 90年代をピークにその動きは次第に陳腐化し、減速していったものの、今なお「イビサ」という地名は、特に欧米の人々にとっては、「バカンス」「リラックス」「自由」「華やかさ」「享楽」「頽廃」と同じ響きを持つ。

 フォルメンテーラ島も近年ツーリストが増え、スペイン本土からの直行船が航行するようになった。

「スッピンのイビサ」とも言える食文化

イビサ島の街並み

 さて、ヒッピー文化やクラブミュージックが、お化粧をした「よそ行き」のイビサの顔だとすると、この島の食文化は知る人ぞ知る「スッピンのイビサ」ということになるだろうか。中でもフォーカスしたいのが、塩と酒類である。

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