1月7日、イラン南東部ケルマンでは、ソレイマニ司令官のひつぎの周りに多くの人々が集まった。彼らの悲しみと怒りは、どこに向かうのか (C)EPA=時事

 

 1月3日にイラン革命防衛隊「アル・コッズ旅団」司令官カセム・ソレイマニ少将が、米軍のドローンで殺害された事件は、世界に衝撃を与えた。EU(欧州連合)諸国は米国とイランに対し軍事衝突の回避を求めている。だが1月8日にはイランがイラク国内の米軍基地をミサイルで攻撃し、軍事衝突の危険が日に日に高まっている。

「どちらにも与せず」

 EUのソレイマニ少将殺害事件への反応には、イランだけではなく米国に対しても、一定の距離を置いていることが感じられる。イランはここ数カ月、イラク駐留米軍基地への攻撃や、サウジアラビアの製油所に対する攻撃など挑発行為を繰り返してきた。

 これに対抗するため、ドナルド・トランプ米大統領はイランの宗教指導者アリ・ハメネイ師の側近中の側近でもあるソレイマニ少将を殺害するという過激な作戦を実行した。過去にジョージ・W・ブッシュ元大統領やバラク・オバマ前大統領もソレイマニ少将の殺害を考えたが、中東情勢全体に大きな悪影響を及ぼすとして、断念した。これは、欧州が「どちらにも与せず」という姿勢を示していたからだ。

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