ユーチューバーの波特王と話す蔡英文総統(番組画面より)

 

 1月11日に迫った台湾の総統選。本来は「お祭り」と言われるほど、賑やかで派手な選挙運動で知られる「民主の祭典」なのだが、今回は異変が起きている。過去の総統選に比べて選挙集会が少なく、巨大ポスターもあまり見かけず、全体的に控えめで静かなのである。

 では、選挙が盛り上がっていないのかと言えばそうではない。主戦場がインターネット上に移り、こちらで宣伝戦が繰り広げられていたのだ。

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 11日には立法委員(国会議員に相当)の同日選挙も行われるが、今回で3期目を目指す、与党「民進党」のある立法委員候補は、私にこんな話をしてくれた。

「選挙の予算をどう使うのかは、いつもものすごく悩まされる。いままでは、予算内で何カ所夜の集会を開き、何カ所に看板を出すかばかりを考えていた。でも今回は違う。ネットの宣伝にまず半分の予算を使い、残りを集会と看板などに使っている」

 この立法委員の陣営では、「小編」と呼ばれるネット発信担当の若者たちを数人雇用し、日々、フェイスブック、ライン、「PTT」と呼ばれる掲示板で、選挙運動の情報を発信してもらったり、シェアされやすいデザインのイラストを作成してもらったりしている。候補にとってネガティブな情報を見つけては、それに反論するのも、彼らの仕事だ。

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