習近平が考える3つの「台湾包囲網」戦略

執筆者:野口東秀2020年1月14日
1年前の2019年1月2日、台湾政策を武力解放から平和統一に転換した「台湾同胞に告げる書」の発表40周年を記念して演説する習主席。この時は「平和」を強調していたが……(C)AFP=時事
 

 中国による香港統治の強権的手法に危機感を強めた台湾住民によってもたらされた、今回の蔡英文総統の勝利――。

「中台統一は中華民族の悲願」とする中国の習近平政権は、この結果に悲観しているのか。あるいは、焦りはないのだろうか。

 これまで習近平政権は、台湾政策において5つの柱を軸としている。

(1)平和的統一

(2)1国2制度

(3)1つの中国

(4)中台経済の融合

(5)同胞意識の推進

 経済、軍事的圧力を加え、大陸での台湾人優遇措置や世論工作で台湾人の心を掌握しようというものだ。

 加えて指摘されてきたのが、台湾人に対し、戦争か統一かとの選択で台湾人が「戦争よりも統一」を選択するよう周辺環境を整えることである。

 そのために時には軍事的恫喝をし、あるいは台湾の政治家のメールをハッキングして公開するなどソーシャルメディアでの拡散戦略といった情報かく乱も行ってきた。

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