朝鮮労働党中央委員会総会での金正恩党委員長の報告は、7時間に及んだ(『労働新聞』HPより)

 

 北朝鮮は2019年12月28日から31日まで、異例の4日間にわたる朝鮮労働党中央委員会第7期第5回全員会議(総会)を開催した。

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は7時間にわたる報告を行い、米国が米韓合同軍事演習を続け、経済制裁を続けている状況で「一方的に公約に縛られる根拠はなくなった」と述べ、一昨年4月の党中央委第7期第3回総会で決定した「核実験とICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験の中止」などの決定を撤回する可能性を示唆した。さらに「世界は遠からず、わが国の新たな戦略兵器を目撃するだろう」と語り、「新たな戦略兵器」の登場を予告した。

 その一方で、米国による経済制裁は続くとして、「自力更生」の旗を掲げて「正面突破」戦を展開しようと人民に訴えた。米国との対決姿勢を強めながら、人民に長期戦の覚悟をするよう求めたといえる。

 党中央委総会の全体的なトーンは、これまでの「対話」基調の路線を、「対決」基調に転換するものだ。一方で、「米朝交渉の打ち切り」や「非核化の放棄」という決定的な言辞を避け、米政権を非難しながらもドナルド・トランプ米大統領への言及を避けるなどして、対話の余地を残すという「戦略的曖昧性」とでもいうべき姿勢を展開した。

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