北朝鮮「非核化」危うし(下)異例の「大規模人事」と「苦難の行軍」
2020年1月15日
党中央委員会第7期第5回総会では、予想を超える大規模な人事が行われた。
目につくのは、70~80歳代の老幹部を引退させ、50~60歳代の幹部を後任に据える世代交代だ。しかも新たに登用された人材は、金党委員長が昨年推進してきた国防力の強化や観光文化施設建設などに功績のあった人物だ。さらに党の専門部門である各部の部長の3分の2を交代させた。
先述したように、北朝鮮は昨年4月の党中央委総会や最高人民会議でも大規模な人事を行っているが、わずか8カ月でこれほど大きな人事刷新をしなければならないというのは、北朝鮮の直面している状況の深刻さを反映したものだろう。
金与正氏は組織指導部へ異動か
今回の人事でまず注目されたのは、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の実妹の金与正(キム・ヨジョン)氏があらためて党第1副部長に任命されたことだ。
金与正氏は2017年10月の党中央委第7期第2回総会で党政治局員候補になり、『朝鮮中央放送』は2018年2月9日、北朝鮮の高位級代表団が平昌冬季五輪開幕式に出席するために平壌を出発したと報じる中で、金与正氏を党第1副部長の肩書きで報じた。この時は党宣伝扇動部の第1副部長とみられていた。北朝鮮メディアが金与正氏を「党第1副部長」の肩書きで報じたのは、昨年3月5日にベトナムのハノイから金党委員長とともに帰国したときが最後だった。
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