ルームメイトの女の子から見たイスラム社会:ユペチカ 西森マリー(監修)『サトコとナダ』
2020年1月28日
最近の米国とイランの関係悪化など騒然とした中東・イスラム圏のニュースは日々、耳に飛び込んでくる。今や世界人口の4分の1がイスラム教徒で、将来には「3人に1人」までその割合は高まるとされる。都内でも最近、ヒジャブを身に着けた女性を見かけることが増えた。
とはいえ、多くの日本人にとってイスラム教やその信者はまだ遠い存在だろう。一方的に流れてくる不穏な国際ニュースの洪水と、不足がちな等身大のイスラム教徒の実像。この情報ギャップを埋める良質なコンテンツとして、『サトコとナダ』(星海社)を紹介したい。
お目にかかれない本音トーク
米国の大学に留学したサトコはルームシェアのパートナーとなるナダと出会い、初めて目だけをのぞかせた「ニカブ」を見て、「私はこの人と仲良くしていけるのだろうか…」と衝撃を受ける。ナダはサウジアラビア出身で医師を目指している。共同生活の中で2人は宗教観を含めてお互いの文化への理解を深め、親友となる。そこに他の学生たちが絡み……といった筋立てで、読み味はよくあるエッセイマンガに近い。
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