ネタニヤフ首相(左)とエルドアン大統領、この2人の鍔迫り合いにも要注意(C)AFP=時事
 

年末年始に動く中東情勢

 中東専門家は年末年始に休めないことが多い。

 中東地域は年末年始に大きな動きが起きやすい。その理由としては、中東では年末年始をそれほど重要な休日としておらず、中東に多いギリシア正教など東方キリスト教会は12月24・25日をクリスマスとしていないことなどから、そもそも「休みではない」ことが挙げられるが、米国などがクリスマス休暇で休みがちで目を離した隙に、物事が動かされるという事情もあるのだろう。そもそも毎月のように大事件が起こる中東で、年末年始だけはそこから免除されるという方が不思議かもしれない。

 思い返せば、2016年の年初は、1月2日にサウジアラビアがシーア派の指導者ニムル・アル=ニムル師を含む政治犯47人の一斉処刑を行ったのに対して、即日にイランで反サウジのデモが生じ、テヘランのサウジ大使館などが焼き討ちされ、1月3日にはサウジが対イラン国交断絶を宣言、と急速にペルシア湾岸の対立が激化した。

 2017年末から2018年初にかけては、12月28日にイラン北東部の宗教都市マシュハドで反政府デモが発生したのを皮切りに、北西部ラシュト、西部ケルマンシャーなど地方都市に次々とデモが飛び火するという、従来の首都テヘランやイスファハーンを中心にした政府批判の抗議行動とは異なる現象が起き、ロウハーニー大統領への批判から始まって、最高指導者ハメネイ師にまで批判の矛先が及ぶという、体制の危機に繋がりかねない事態が生じた。

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