中東―危機の震源を読む (96)

年末年始・中東のもう1つの騒動:東地中海ガス田をめぐるトルコとイスラエルの虚実皮膜

執筆者:池内恵 2020年1月29日
エリア: 中東 ヨーロッパ
ネタニヤフ首相(左)とエルドアン大統領、この2人の鍔迫り合いにも要注意(C)AFP=時事
 

年末年始に動く中東情勢

 中東専門家は年末年始に休めないことが多い。

 中東地域は年末年始に大きな動きが起きやすい。その理由としては、中東では年末年始をそれほど重要な休日としておらず、中東に多いギリシア正教など東方キリスト教会は12月24・25日をクリスマスとしていないことなどから、そもそも「休みではない」ことが挙げられるが、米国などがクリスマス休暇で休みがちで目を離した隙に、物事が動かされるという事情もあるのだろう。そもそも毎月のように大事件が起こる中東で、年末年始だけはそこから免除されるという方が不思議かもしれない。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top