習近平主席の「強国復権」の夢を、ウイルスが打ち砕くのか (C)AFP=時事
 

 習近平政権は、国民に「強国復権」という夢の実現を呼び掛けている。これは、日本の明治時代の「富国強兵」と同じ文脈で語られている。

 世界2番目の経済規模を誇る大国・中国は、ほんとうに強国になれるのだろうか。アメリカとの貿易戦争は1年半も続いて、ようやく中国側の大幅な譲歩によって第1段階の合意に達した。

 香港で起きた抗議デモは、もともと逃亡犯引き渡し条例改正案の採決に反対するための動きだったが、やがて反中デモと化し、いまだに収束していない。

 習近平政権は「一国二制度」の枠組みで台湾を統一するとしているが、さる1月11日に行われた台湾の総統選挙で、独立志向の強い蔡英文が圧倒的な得票数で再選された。

 こうしたなかで、新年早々、北京政府が青天の霹靂のような出来事に見舞われた。中国一大工業都市の武漢市で、新型コロナウイルス感染による肺炎が急速に広がっているのが、それだ。

根源は「なんでも食べる文化」

 振り返れば17年前の2003年、中国はすでにコロナウイルス感染の肺炎(SARS)禍を経験している。しかし、当時の経験と教訓がほとんど活かされず、今回もコロナウイルスが猛威を振るっている。

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