「新型肺炎」日本の対策は大間違い

執筆者:上昌広2020年2月4日
2月1日には首相官邸で新型コロナウイルス感染症対策本部の会合を開いたが…… (C)時事
 

 新型コロナウイルスの感染が急拡大している。2月4日現在、中国国内の感染者は2万人に迫り、死者は420人を超えた。

 世界保健機関(WHO)はようやく1月30日に緊急事態を宣言した。中国だけでなく、世界各国に新型コロナウイルスが拡散していることを受けての対応だ。

 日本政府も対応に余念がない。1月28日の閣議で、新型コロナウイルス感染を指定感染症に追加することを決め、29日から3度にわたりチャーター機を派遣し、武漢在住の日本人565人を帰国させた。 

 私は関係者の努力に最大限の敬意を払うが、それでも、今回の対応は適切でないと感じるところが多い。

 中国と比べて、ノウハウや実行力にあまりにも大きな差がある。

 本稿では日本の対策の問題点を解説したい。

国内感染のデータ収集せよ

 新型コロナウイルス対策を講じる上で、もっとも重要なことは、国内の感染状況を正確に把握することだ。

 厚生労働省は水際対策に力を入れているが、このような施策に意味があるのは、国内で感染が広まっていない場合に限られる。安倍晋三首相は、感染している人は入国を拒否するという方針を打ち出しているが、果たしてそれは合理的なのだろうか。

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