武漢随一の名勝と名高い楼閣「黄鶴楼」側から見る現在の「武漢長江大橋」(「PhotoAC」より)
 

 武漢で発生した新型コロナウイルスの脅威は、着地点も見えないままに、拡大の一途だ。

 各種報道によれば、2月4日時点で、中国国内での感染者は2万人に迫り、死者は420人を超えたと中国保健当局が発表したという。死者数は、2003年に流行した「SARS」の被害を上回った。

 海外では、日本をはじめ、香港、台湾、タイ、カンボジア、フィリピン、マレーシアなどの周辺から、オーストラリア、アメリカ、遠くフィンランドまで26の国と地域にまで拡大している。このうちフィリピンでは1人、中国国外での初の死者も出た。

 被害拡大の情報を抑えることを狙う中国から圧力を受けた、などと報じられた「世界保健機関」(WHO)だが、1月30日には緊急委員会を開催し、ようやく「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言している。やはり一刻の猶予も許されないほどに事態は切迫し、中国というよりは世界の問題に変質しつつあるようだ。

 日本でもテレビを中心に連日盛んに報じられているが、どこか肝心な部分が抜け落ちているように思えて仕方がない。

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