大湾区は、これまで述べてきたように、中国の国家の発展戦略において重要な拠点として位置づけられ、その地区を構成する市や地域は、相互に特色や特徴を発揮しながら、ある面では相互に競争し、ある面では相互に密接に結びつき、相互に補完しながら発展してきており、今後さらなる進化を遂げていきそうである。

 そこでここでは、今回の現地における研究・調査において見て、そして感じた実体験を、レポートする。

 本来なら、大湾区全域を訪問し研究・調査すべきであったが、今回は広州市、珠海市(マカオに隣接する地域)、深圳、香港という、大湾区の中でも特に重要な地域を限定して訪問した。

多様性のある街・広州

 まず、広州市についてみていこう。まず、次の写真を見ていただきたい。近未来的で、非常に洗練された街並み。私たちの従来の中国における街のイメージを一掃してしまうような街並みであり、洗練さである。また広州市は、グリーンイノベーションを奨励する行動をとっており、緑化に配慮した開発追求ソリューションの典型になっているといわれる。

広州タワーから見た広州市の中心街(左:日中、右:夜景=以下の写真すべて筆者撮影)
 
広州市内(2点とも)
 

 また、中国全体では外国人の姿は多いとはいえないが、広州市は、香港やマカオを除けば、歴史的に見ても、最も海外に開かれた街の1つである。その象徴といえるのが、広州市の小北駅近辺にあるアフリカ・アラブ人街(宝漢地区)である。

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