世界経済の先行きが見える「スイス製時計」の全世界への輸出額。さて2019年は…… (写真はイメージです)

 

 景気の先行きが見える高級品の需要に急ブレーキがかかっている。高級時計の代名詞であるスイス製時計の全世界向け輸出額を見ると、世界や輸出する先の国・地域の経済動向が見えてくるのだが、好調と思われていた世界経済に明らかに鈍化の兆しが見えている。

香港向け輸出が激減

 スイス時計協会が発表した2019年のスイス時計輸出額は216億8060万スイスフラン(約2兆4380億円)と、2018年に比べて2.4%増えた。輸出額の増加は3年連続だが、2018年の対前年伸び率6.3%より明らかに鈍化した。

 2019年前半までは、過去最高だった2014年の222億スイスフラン(約2兆4960億円)を5年ぶりに更新するのは確実だと見られていたが、年後半に伸び率が鈍化。記録更新はお預けとなった。

 スイス時計の輸出鈍化の背景には、いくつかの要因がある。

 最も大きかったのが世界最大の時計市場と言われる香港向けの輸出が激減したこと。トップの座は辛うじて維持したが、26億5930万スイスフラン(約2990億円)と11.4%も減少した。昨年6月から香港当局への抗議デモが広がり、8月には空港が閉鎖されるなど、香港情勢が大きく混乱したからだ。

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