和平案でもタッグを組んだが、サウジ、UAEも含めて各国の思惑が複雑に交錯する(C)AFP=時事
 

エンテベの会談

 2月3日に、ウガンダの首都エンテベで、イスラエルのネタニヤフ首相と、スーダンの移行期主権評議会のアブドルファッターフ・ブルハーン議長(暫定大統領)が会談していたことが明らかになった。まずイスラエル側がこれを明らかにし、次いでスーダン側もこれを認めた

 イスラエルはエジプト(1979年)、ヨルダン(1994年)と平和条約を結び国交を樹立しているが、それ以外のアラブ諸国とは国交がない。今回の会談を機会に、イスラエル民間航空機のスーダン上空通過の許可など、「正常化」に向けての施策が試みられる見通しである。スーダンがアラブ諸国としては3番目にイスラエルとの国交樹立に踏み切るか否かが注目される。

 イスラエル側が積極的にこの会談の存在を明かすのに対し、スーダン側は、ハムドゥーク首相が率いる暫定政府はブルハーン議長のネタニヤフ首相との会談を承知していないと表明し、それに対してブルハーン議長が釈明・正当化に追われ、会談の意義を限定的に見積もるという経緯は、イスラエルとサウジアラビアなど湾岸産油国との関係にも似ている。イスラエルにとってはスーダンや湾岸産油国との関係構築を明かすことで、イスラエル国家の正統性の証明、存在の定着を主張できる。それに対して、スーダンも、サウジアラビアもUAEも、イスラエルと関与する実利はあるが、それをあからさまにしてしまうことは都合が悪い。しかしイスラエルとの関係の構築は米国との関係の改善を目指して行われていることであり、イスラエルとの関係を表向き否定しておくこともできない。

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