イスラエルとスーダンの接近:背後にある米国・イスラエル・サウジ・UAEの外交

執筆者:池内恵 2020年2月7日
エリア: 中東 北米
和平案でもタッグを組んだが、サウジ、UAEも含めて各国の思惑が複雑に交錯する(C)AFP=時事
 

エンテベの会談

 2月3日に、ウガンダの首都エンテベで、イスラエルのネタニヤフ首相と、スーダンの移行期主権評議会のアブドルファッターフ・ブルハーン議長(暫定大統領)が会談していたことが明らかになった。まずイスラエル側がこれを明らかにし、次いでスーダン側もこれを認めた

 イスラエルはエジプト(1979年)、ヨルダン(1994年)と平和条約を結び国交を樹立しているが、それ以外のアラブ諸国とは国交がない。今回の会談を機会に、イスラエル民間航空機のスーダン上空通過の許可など、「正常化」に向けての施策が試みられる見通しである。スーダンがアラブ諸国としては3番目にイスラエルとの国交樹立に踏み切るか否かが注目される。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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