ジョージア・ワイン・ルネッサンス(4)「ワインの母・チャチャ」と「聖なるマラ二」
2020年2月11日

発酵が進んでいるクヴェヴリワイン(筆者提供、以下同)
牛丼の「松屋」が1月14日から提供しているジョージア料理の「シュクメルリ鍋定食」が話題だ。筆者はアメリカ在外研究中でまだ体験していないが、これはジョージアのラチャ地方にまつわる料理である。
エスニック料理のオペレーションを可能にする日本の外食チェーンの凄さを感じるが、また他稿で是非詳しく触れたい。
その前にジョージア文化の華でもあるジョージア・ワインについて、醸造家ジョン・ワーデマンの講演に基づいて解説を続けていこう。
前々回と前回は地中に埋めてワインを醸造する甕こと「クヴェヴリ」について記した。今回はジョージアのワイン造りにおいて欠かせないもの、チャチャとマラニについて触れよう。
「母」は最も重要な言葉
ジョンがクヴェヴリ造りの紹介に続いてスライドで示したのは、クヴェヴリから溢れんばかりのワインの姿であった(冒頭写真)。ブドウのジュースだけではなく、果皮がともに漬かり、ガスが出ていて発酵していることがよくわかる。
ジョージアでは、クヴェヴリの中に「漬ける」このブドウのことを「チャチャ」と呼ぶ(井戸を「チャ」と呼ぶので、水と関係ある言葉かもしれない)。また、後述するように、蒸留酒も同じ名前で呼ぶ。
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