ブレグジット後の英国「主権」考(上)「どこから」「どこへ」取り戻すのか
2020年2月14日
英国が、欧州連合(EU)から1月31日付でとうとう離脱した。
当面は「移行期間」に入るだけだから、今年末の期限までに大きな変化はない。単一市場も関税同盟もこれまで通りである。ただ、その先に英国がEUとどのような関係を結ぶのかは、不透明なままとなっている。
いずれにせよ、泣こうがわめこうが、もう元の関係には戻れない。離婚が成立し、子どもの親権や財産分与について話し合う、という段階である。
拒んだ欧州統合の精神
2016年の国民投票の際、離脱キャンペーンが掲げたスローガンは「主権を取り戻す」(Take Back Control)だった。キャンペーンの事務局長だった現首相首席特別顧問ドミニク・カミングズが考案したといわれる標語だが、英国はまさにその言葉通り、繁栄するも衰退するも自らの手にかかる「主権」を取り戻したように見える(Controlは通常「管理」と訳され、「主権」はSovereigntyが一般的な用語である。ただ、この場合は国家の行く末を選ぶ権利と受け止められているので、やはり「主権」の訳が適当だろう)。英国は、主権を我慢して助け合う欧州統合の精神を拒んだのだった。
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