さようならEU。英国のEU離脱後、エディンバラ(スコットランドの首都)でEU復帰支持の集会に参加した後に帰途に就く女性(筆者撮影、以下同)

 

 英国が、欧州連合(EU)から1月31日付でとうとう離脱した。

 当面は「移行期間」に入るだけだから、今年末の期限までに大きな変化はない。単一市場も関税同盟もこれまで通りである。ただ、その先に英国がEUとどのような関係を結ぶのかは、不透明なままとなっている。

 いずれにせよ、泣こうがわめこうが、もう元の関係には戻れない。離婚が成立し、子どもの親権や財産分与について話し合う、という段階である。

拒んだ欧州統合の精神

 2016年の国民投票の際、離脱キャンペーンが掲げたスローガンは「主権を取り戻す」(Take Back Control)だった。キャンペーンの事務局長だった現首相首席特別顧問ドミニク・カミングズが考案したといわれる標語だが、英国はまさにその言葉通り、繁栄するも衰退するも自らの手にかかる「主権」を取り戻したように見える(Controlは通常「管理」と訳され、「主権」はSovereigntyが一般的な用語である。ただ、この場合は国家の行く末を選ぶ権利と受け止められているので、やはり「主権」の訳が適当だろう)。英国は、主権を我慢して助け合う欧州統合の精神を拒んだのだった。

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