ドイツ東部テューリンゲン州の首相に選出されたFDPのケンメリヒ氏。だが、文字通りの三日天下に終わってしまったそのワケとは…… (C)EPA=時事 

 

 「ついにダムが決壊した」「タブーが破られた」

 2月5日に旧東独のテューリンゲン州議会で起きた「政変」を見て、多くの政治家、報道関係者がこう語った。

 「ワイマール共和国のような空気がドイツを覆っている」

 という声もある。というのも、既成政党が初めて極右政党の力を借りて、一時的に州政府のトップの座に就いたからだ。

ダークホースの当選

 テューリンゲン州では、去年10月の州議会選挙で、どの党も過半数を取れず連立交渉も難航していた。そこで、2月5日に議員たちの投票で首相を選ぶことになった。

 「左派党(リンケ)」のボド・ラメロウ前州首相は、左翼党・「社会民主党(SPD)」・「緑の党」の少数派連立政権(政党のシンボルカラーを使って、赤・赤・緑政権と呼ばれる)を継続しようとしていた。左翼党は社会主義時代の東独の「社会主義統一党(SED)」の流れをくむ左派政党だが、比較的穏健なラメロウ前州首相は、同州の市民の間で人気が高かった。

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