演説後にペロシ議長が演説ペーパーを破り捨てる場面だけ強調されたが、その前段には、演説直前に握手を拒否した大統領の非礼さもあった(C)AFP=時事
 

 2月4日のドナルド・トランプ米大統領の一般教書演説は、かつてない明るいトーンで、自分の実績を誇らしげにアピールするものとなった。2017年の就任演説での、アメリカは「大虐殺」にあっているという悲観的なトーンから一転、好調な経済、低い失業率という強い経済実績を強調した。

 トランプ大統領の自信にあふれた演説ぶりは、単にこの3年で演説手法に習熟したというよりは、1月31日の上院で、与党共和党が新たな証人を要求する民主党の動議をしりぞけ、上院の評決での弾劾罷免回避がほぼ確定した「晴れやかな気分」を反映したものといえそうだ。

「魔女狩りだ」と批判してきたこの不名誉な弾劾訴追が失敗に終わったことで、演説は、今後は議会民主党からの制約からさらに自由になり、自身へのコアな支持者が望む政策遂行に邁進する、というマニフェストとなった。

 しかも、直前に行われた民主党のアイオワ州党員集会では、新たに導入した集票アプリの技術欠陥により開票が遅れて、誰も勝利宣言ができず、民主党内には不満と分裂の種が仕込まれた。

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