「手取りは減額」となる年金改革「複雑さ」のカラクリ
2020年2月18日
1月20日に召集された2020年の通常国会で、年金制度改正が実施される。
主な柱は、在職老齢年金の見直し、75歳までの繰り下げ受給の拡大など、いかにも年金受給者にメリットがありそうだ。
しかし、2019年12月16日の拙稿『「年金制度改正」で加速する安倍政権「高齢者いじめ」』で問題点を明らかにしたように、実は “大きな落とし穴”が潜んでいる。
手取りベースでは……
まずは、公的年金の受給開始年齢の繰り下げから説明しよう。
現在の公的年金制度は、受給開始年齢は原則65歳だが、60~70歳の範囲で選択できる。この選択可能範囲を、制度を改正することによって75歳までに拡大するという。
65歳から受給を開始した場合の年金額(基準額)に対して、受給開始を1カ月遅らせるごとに年金受給額は0.7%増額されるため、単純に計算すれば、70歳からの受給開始では42%、75歳からは84%増額となる。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。