日本語能力試験ホームページ。「成績書類偽造にご注意!」のお知らせも(公式ウェブサイトより)
 

 前稿(上)で紹介した神吉宇一・武蔵野大学准教授の私への批判は、果たして正当なものなのか。私は、アカデミズムの専門家に判断を仰ぐことにした。

 まず、一橋大学特別研究員の井上徹氏の論文を審査した安田敏朗・一橋大学大学院言語社会研究科教授に神吉氏のブログの感想を尋ねると、こんな答えが返ってきた。

アカデミズムの反応

〈出井氏の記事の、どこをどう読んだらN1、N2を取得していない留学生を「偽装留学生」と言うことができるのか。出井氏の記述を引用して(つまり、「根拠を示」しつつ)示すべきである。出井氏はそんなことは言っていない。ついでにいえば、「そもそも、ある1つの試験の結果だけで教育成果や学習者、教育機関の良し悪しを議論するのは適切ではない」というのは一般論にすぎず、出井氏の記事の趣旨とは関係ない。ブログ読者をミスリードしているように思われる〉

 続いて、神吉氏の当初のブログに対する井上氏の反論を一橋大・雇用政策研究会のディスカッションペーパーとして採用した同大大学院社会学研究科の倉田良樹・特任教授にも、同じ質問をぶつけてみた。

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