「第2次難民危機」招くトルコ「国境開放」をEUは抑え込めるか
2020年3月12日
シリア北部での戦闘激化と、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の強硬な態度により、欧州の頭上には再び難民危機の暗雲が広がり始めた。
7万6000人がギリシャへ
危機の焦点は、ギリシャ北東部のカスタニスに近いトルコとの国境地帯だ。ここには3月初めから多数のシリア難民らが集まり、金属製のフェンスを突破してギリシャに侵入しようと試みている。これに対抗するギリシャの警官隊は、催涙ガスや放水車によって、難民の侵入を食い止めようと必死だ。
難民がこの地域に殺到している理由は、エルドアン大統領が2月29日、
「我々はEU(欧州連合)との国境を開け放った。約7万6000人の難民がギリシャ国境を通過した。EUはまもなく100万人の難民に直面するだろう」
と宣言したからだ。この宣言通り、トルコ政府は他の地域からシリア難民をバスで国境地帯に送り込んでいる。
国連の推定によるとこの地域でEUへの出国を待つ難民の数は約1万3000人に達する。女性や子どもを含む難民たちは、プラスチックシートや材木を使ってテントを作り、雨に濡れた荒れ地で寝泊まりしている。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。