新型コロナウイルス問題の広がりで、ここ数日で、各国が全面的に国境を閉じる流れが定まったようだ。グローバル化を一時的に振り出しに戻すと言っていいほどの、人間の動きの制約・停止措置が全世界的に広がりそうだ。

これがいつの時点で収束し、解除されるか、誰がリーダーシップをとって収束させ、グローバルな人の動きを再開させるかは、米中の泥仕合のような対立もあって、見通しが立たない。

この「ウイルス対人類」のいわば戦いの「本丸」あるいは「決勝戦」は米国であると言っていいが、その米国での感染の拡大の速度と規模がまだ明らかではなく、米国とそこから全世界に及ぼす政治・経済・社会への打撃の程度も分からないために、このウイルスの国際政治・国際社会に対する威力の全貌はいまもって開示されていない。

そんな中、早期に中国や韓国、日本など東アジア諸国に対してだけでなく、全世界を対象に全面的に国境を一旦閉じる政策に先んじて踏み出したイスラエルの判断は興味深い。イスラエルは各国と同様にまず中国への滞在者に検疫を義務づけることで実質上の入国拒否を始めたが、2月23日に韓国と日本からの入国拒否を発表することで、「鎖国」的な政策を加速した。そして3月の早い時期から、米国からの入国拒否を検討し始めた。

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